尾張地域:江南市「滝学園 本館・講堂」
○日 時:平成25年3月12日(火) 14:00〜16:00
○場 所:滝学園(江南市東野町米野1)
○参加人数:江南市歴史ガイドの会 7名、江南郷土史研究会 2名、
江南市役所生涯学習課 1名、愛知登文会関係・その他 3名
○プログラム
時 間 | 内 容 | 場 所 |
14:00〜14:05 | 開催趣旨、愛知登文会の紹介、文化財について | 本館2階 |
14:05〜15:30 | 所有者によるお話(歴史や建物をめぐるエピソードなど)と案内 滝 勝夫氏(滝学園副理事長) 専門家による建物の特徴や魅力についての解説 瀬口哲夫氏(名古屋市立大学 名誉教授) |
本館2階 |
15:30〜16:00 | 建物の見学と解説、質疑応答 | 本館・講堂 |
○建造物の特徴・講習のポイント等
・滝実業学校は、老舗繊維商社であるタキヒヨー(宝暦元年(1751)創業)の5代目滝信四郎氏が私財を投じて大正15年(1926)に設立した学校である。社会貢献にも積極的に取り組まれ、「青少年育成こそが地域社会への最大の奉仕」の理念のもとにつくられたのが滝実業学校である。
・滝実業学校の建物の設計は、建築家村瀬國之助氏(明治28年工手学校卒)が担当。村瀬氏は株式会社瀧兵商店が開発した蒲郡ホテルの建設工事の監理も担当しており、滝家の建築顧問的存在であったと言われている。
・本館は、教室の大きさがまちまちで、柱と柱の間は均等ではなく教室の大きさによって異なる。なお、建物全体はプロポーションを意識した設計となっている。
・講堂は、舞台正面が階段状の模様をモチーフとしたアールデコの意匠が採用されている点が特徴。正面中央に三連出入口を設けていて、鋼製建具は創建時のもので、一部当初の磨きガラスも残っている。
・昭和38年(1963)、映画『高校三年生」のロケ舞台ともなった。
○見学講習の成果
・近くに住んでいながらも間近で建物をみる機会が初めてだという参加者が多く、所有者と専門家の双方から解説をうかがうことで、本館・講堂の価値を再認識する機会となったのではないだろうか。
・滝学園の「新しい時代の流れの中でも良いものは残したい」という考えや、瀬口先生からの「学校の校舎は古くても良いものは残して活用していく事が教育に役立つ」といたお話から、古き良きものを残していくことについて改めてよいと感じたという参加者も多く、ボランティアガイドの方や地域の方にとっても新たな知見が得られたものと考えられる。
・保存・活用については、参加者からも「もっと多く地域の人々にも開放して理解を持ってもらうようにしたらどうか」「学校側としての考え方が聞ければと思う」といった意見が聞かれた。地域の方に価値を知ってもらい、地域を巻き込んで保存・活用がなされていくことを期待したい。
・会場が教室であったことから、建築的特徴についての解説の際は瀬口先生が黒板を使用して図で示しながらご説明くださり、参加者からは専門的な話が解かり易かったといった声が聞かれた。
○当日の様子